フィラメント乾燥機を作る そしてテスト
3Dプリンタ用のフィラメント乾燥機を作りました。
作り方は以下。
Nature3D様の記事をもとに製作いたしました。
終わり。
ではなく、今回は製作した乾燥機がどのくらいの乾燥性能を持っているのか検証しました。
そもそも樹脂を乾燥させる目的とは、
・水分により樹脂自体が加水分解することにより物性の低下
・含有水分が発砲し表面にぶつぶつができたりして美観の低下
・溶融しづらくなり吐出が不均一になることで積層が不安定になる
などの不具合を防止することにあります。
3Dプリンタよりもはるかに歴史の長い射出成型においてはごく当然のものとして行っているものです。
(予備乾燥)
製作したフードドライヤー改造型は熱風型乾燥機に該当します。
今回の目的は
①3Dプリンタで扱うポピュラーな材料であるABS,PLAの予備乾燥温度70~80℃まで乾燥機庫内の温度を上昇させること
②乾燥機にて水分が十分乾燥しきることの確認
③乾燥させたフィラメントの造形テスト
の3本になります
〇STEP1 : フィラメントドライヤーの温度上昇確認
〇STEP2 : STEP1の断熱強化型フィラメントドライヤーの温度と重量変化(水分低下)の確認
*材料ABSにて試験、一般的に吸水率0.2~0.6wt%なので、乾燥でそれくらいの重量変化が起きることを狙う
〇STEP3 : 造形テスト
の流れで記します。
〇STEP1
フィラメントドライヤーを作って、適当なABSフィラメントを入れます
スイッチをオン
70℃と書いてあるところまでつまみをひねります
(ちなみにスペック上は75℃までと書いてあったような気がするんですが。。。)
時間と温度のグラフはこちら
室温28℃からスタートし順調に温度上がっていきますが、
13分後にサチりかけていました。
慌てて周囲の断熱のため、座布団やら毛布やらを掛けました。
待つこと32分後には76.5℃まで上昇
というわけで、
70~80℃まで温度上昇に成功しましたが、
同時に外部への断熱を強化しなければならないことがわかりました。
〇STEP2
というわけで断熱強化
厚さ15mmのウレタンスポンジを底面除く(底面から空気を吸引するので)側面、上面に張り付けました。
水につけこんでたっぷり水を吸ったABSをぶち込みます
そしていざスイッチオン
30分ごとに取り出して、重量測ったり
フィラメント表面温度測ります
そして結果がこちら
青線(重量[g]) :196.4[g] ⇒ 195.4[g] *重量変化率:0.51%
赤線(乾燥機内温度[℃]) :だいたい70℃前後、フタ開け閉めで変化している
黄線(フィラメント表面温度[℃]): 57℃くらいで安定
重量は0.51%低下しています。
ABSの吸水率は0.2~0.6wt%から仮にもともと0.6wt%吸水していたととすると、かなり乾燥し水分は0.1wt%以下です。
十分な乾燥性能といえそうです。
今回の乾燥ではフィラメントはばらけており、表面全体に熱風が当たりやすい状態でしたので重量は150分ほどで安定しました。
しかしながら多くの場合は、ドラムに綺麗に巻いてあり表面のみが外部に露出しています。
よってドラム状態の場合はもっと乾燥時間がかかるかもしれません。
下記、Polymaker のフィラメント記事にて乾燥時間が詳細に載っています。
〇STEP3
造形テストしました。
画像上:乾燥後(PLA、72℃、8時間)
画像下:乾燥なし
乾燥なしは積層間で矢印部で隙間ができています。
比べて乾燥後は隙間なく一定積層面です。
表面の美観に対しての乾燥の効果は大です。
<おまけ>
隙間がなく、一定の積層面になることで部品の強度アップが期待できそうです。
というか強度アップしました。
別記事にてまとめたいと思います。